
ミス・ユニバース・ジャパン公式栄養コンサルタントとして、ファイナリストたちに食とライフスタイルの指導を行うエリカ・アンギャルさん。ミス・ユニバースと聞くとなにやらハードルが高そうなイメージですが、著書などで紹介されているアドバイスは誰もが気軽にトライできる方法ばかり。その効果は・・・エリカさんの華やかで若々しいルックスを見れば、一目瞭然!
独自のメソッドで多くの美女を育ててきたエリカさんに、オリエンタルモダンなインテリアが素敵なご自宅にて、ワールドワイドな視点から日本人女性の魅力について語っていただきました。日本人女性ならではの美しさとは?日本人女性が美しくなるために必要なこととは?返ってきたのは、私たちを勇気づけてくれる意外な答えでした。
今すぐ始められる“やせやすい”食べ方や美容法もたくさん教えていただきましたので、どうぞお楽しみに!


─ 食と美の関わりに、ご興味を持たれたきっかけは何だったんでしょうか?
最初のきっかけは、15歳の時に交換留学で大分に来たことです。日本にやって来た時、まず印象的だったのは日本女性の肌の美しさでした。その頃の私は、あごや頬にティーンエイジのニキビがあったのですが、ホームステイ先のおばあちゃんとおかあさんの料理・・・ご飯、お味噌汁、焼き魚、おひたしなどを食べるようになって、1か月くらいするとニキビがなくなったんです。食事が肌に与える影響はこんなにすごいのかと感激しました。

ホームステイ先で食べていたような伝統的な和食には、病気予防や美容に良い食材がたくさんあります。たとえば、オメガ3脂肪酸が豊富な魚や、大豆製品、煎茶。和食の献立にはタンパク質が入っていますし、野菜もたっぷり使われるので、栄養バランスがとても良いのです。
次のきっかけは、糖尿病や心臓病などの生活習慣病や、肌のコンディションに悩む患者さんの個人コンサルティングに携わったことです。食生活を改善すると、1〜2ヶ月くらいで患者さんの肌が変わりました。
そこでわかったことは、私たちが口に入れる食べものは、健康にも美容にも大きな影響を与えているということです。そういう意味で、食べものは一番素晴らしいコスメになります。日本人の女性は、スキンケアでキレイになれると思っているようですが、一番大きな影響があるのは、肌を作っている食べものです。
日本人と白人を比べると、日本人の方がシワやたるみができにくい肌質です。バンコク、上海、東京の女性を比べてみても、東京の女性が一番、シミ、シワ、たるみができにくいという結果が出ています。また、日本人の食生活と肌の老化についての別の研究によれば、日本ではシーフードを上海の3倍食べ、野菜はバンコクのほぼ3倍、大豆製品も2〜3倍食べているそうです。こうした食材を多く摂る和食にはアンチエイジング効果があることはよく知られていますが、特に肌の老化への影響力は高いといえそうです。
─ 日本人にとってあたり前の食事が身体に良くて美容にもつながることを、日本人が一番理解していないのかも知れませんね。

そうだと思います。ただ、日本人の食生活は欧米化が進み、私がホームステイをした頃とは劇的に変わってしまいました。炭水化物だけを単品で食べるとか、パンがベースの食事とか。その結果ティーンエイジャーだけでなく、20代、30代の方のニキビも増えました。
南アメリカやパプアニューギニアの人々には、今でもニキビがないそうです。2つの国に共通しているのは“スーパーマーケットがない”こと。加工食品やジャンクフードがないのです。日本の食文化とはまったく違うのですが、どちらの国も精製されていないものを多く食べています。
精製されたもの・・・白米、白パン、白砂糖など
精製されていないもの・・・玄米、雑穀枚、全粒粉やライ麦などを使った茶色いパン、黒砂糖、はちみつなど
特に今の日本の若い人たちは、アメリカスタイルの食事をしています。また、カロリーは気にするけれど、食べている内容は全然気にしていません。魚も食べていないし、野菜もプチトマトだけとか、うすい色のレタスとかキャベツだけ。同じものばっかり食べている人もいます。そんな食生活を続けていたら将来、シミやシワ、たるみが増えてしまうと思います。
日本人の美しい肌が失われてしまうことだけでなく、がん、糖尿病、メタボ、心臓病などの生活習慣病が増えていることも心配しています。日本人の長寿は、食生活の賜物でした。沖縄は100歳以上の方がたくさんいらっしゃいますが、彼らの子供世代では、40〜50歳で糖尿病や心臓病で亡くなる方も増えています。たった一世代で変わってしまいました。
世界一のアンチエイジングフードであり、生活習慣病も予防できる伝統的な和食が忘れられてしまうのは残念なことです。お世話になった日本に恩返しをする意味も込めて、伝統的な和食の素晴らしさをお伝えしたい、その思いが日本で活動する一番の理由です。


─ エリカさんが初来日された27年前に比べ、日本女性の美意識はずいぶん高まったように感じます。ここ数年ではミス・ユニバース世界大会でも、日本女性の活躍が目立つようになりました。
本当にそうですね。特に、ファッション、メイクアップに関しては世界のトップレベルだと思っています。ミス・ユニバースに選ばれるような女性だけでなく、一般の女性のレベルが世界一だと思います。

ただ、日本の女性は大きな勘違いをしていて、太っていないのに無理やりダイエットをしている人がとても多いです。でも、やせる=キレイではありません。
たとえばミス・ユニバースは、女性らしいボディラインのメリハリが重要なので、日本代表の中には、大会までに5〜6キロ増やす方も多いんです。
日本の女性は、戦後、今の時代が一番やせているという調査結果があります。BMI値(身長からみた体重の割合を示す体格指数)は18.5で「やせすぎ」なのですが、今の20代女性の約30%が18.5以下です。必要のないダイエットをするよりもライフスタイルを改善した方が良いと思います。拒食症や過食症など食に関する問題も増えていますが、健康でなければ美しくなれません。
─ 美しくなるためには、どんなところから改善していったら良いでしょうか?
スターティングポイントは、「朝と昼を多めに食べる」、そして「たっぷりと睡眠をとる」ことです。
朝ご飯を抜いて、お昼はサンドウィッチやパスタですませ、仕事が終わってから22時、23時に夜ご飯をたくさん食べる、という食生活の人も多いと思いますが、これを続けていると太りやすくなります。1日の食事を100%とすると、朝と昼で80%食べて、夜を20%にしましょう。
もうひとつ大切なのが睡眠。睡眠が足りないとホルモンバランスがくずれてしまいます。食欲を刺激するホルモンやストレスホルモンが分泌されて、血糖値が上がり、その影響で太りやすくなるのです。

実は、世界で一番寝ていないのが日本人の女性です。完璧な食生活を送り、運動をしていても、5時間しか寝ていないのであれば意味がありません。できれば7〜8時間は寝るようにしましょう。
また、夜にたくさん食べるデメリットに、眠りが浅くなるという面もあります。翌朝になってもだるかったり、リフレッシュしていない状態のままでは、1日を元気に過ごせません。

─ まずはホルモンバランスを整えることから、ですね。
私たちの身体にはバイオリズムがあって、すべてホルモンに影響しています。食生活や睡眠を見直すことでホルモンバランスが整い、やせやすくなるのです。
朝起きたときに太陽の光を浴びることも、ホルモンバランスを整える1つの方法です。太陽の光を浴びるとセロトニンというホルモンが出るのですが、朝にセロトニンが出ると、夜にメラトニンというよく眠れるホルモンがたくさん出ます。それも身体のバイオリズムで、昔の人たちはこのリズムに沿って日の出とともに起きていました。
そして、寝る時はカーテンを閉めましょう。少しの光でもメラトニンの分泌に影響してしまうので、真っ暗にした方が良いのです。私はアイマスクをして寝ています。電気を消した後、自分の手が見えるようだったら明るすぎですよ。それから、目覚ましに携帯のアラームを使うのも避けた方が良いです。ティーンエイジャーを対象にした研究ですが、電源を入れて置いておくだけでカフェインのような刺激を脳に与え、深い睡眠を妨げるという結果が出ていますので、普通の目覚まし時計を使いましょう。

─ 美しくなるためには運動も欠かせないと思いますが、忙しくて時間がない人もいます。かんたんにできる効果的な運動はありますか?

私はオーバートレーニングをおすすめしていません。
1週間に1時間以上×5回のトレーニングをすると、成長ホルモンが低くなるなど、悪影響が出ることがわかっているからです。コルチゾールというストレスホルモンの数値も上がり、活性酸素(老化や病気の原因になるとされる体内物質)も7倍に増えてしまいます。
最初に運動生理学を学んだ頃は、エアロビクスや有酸素運動を50分とか、たくさんトレーニングをしなければ効果がないと教えられました。でも最近の研究では、健康のためには激しい運動よりもファンクショナルムーブメント(機能的な動き)が良いと言われています。スクワットや腕立て伏せなど、主に自分の体の重さを使って行う筋肉トレーニングのことです。ヨガやピラティスもとても良いです。
筋肉が多ければ新陳代謝が活発になり、基礎代謝(生命活動のために常に使っているエネルギー)が上がるので、筋肉トレーニングはダイエットに効果的です。他には、2分早く走って(歩いて)、1分はゆっくり走る(歩く)というふうに、動きに強弱をつけるインターバルトレーニングもおすすめです。
健康や美容のためにエクササイズする場合は、たとえば週3回、自分の体の重さを使った筋肉トレーニングをして、週2回のインターバルトレーニングを15〜20分行えば、それ以上の運動をする必要はありません。
─ 意外と簡単ですね!そのペースなら、時間を作って続けられそうです。
私自身もそんなに時間を使っていません。やっているのはスクワット、腕立て伏せ、ラウンジ(太ももの後ろの筋肉を鍛えるトレーニング)、プランク(ヨガのポーズ)など、コアマッスル(深層筋)を鍛える動きです。12回×3セット繰り返して、たまにミニトランポリンやフラフープも入れて。それくらいで本当に十分なんです。
この間、オーストラリアで習ったのですが、和式を含むアジア式のお手洗いのような体勢でしゃがむスクワットも良いです。あの体勢は多くの筋肉や関節を使いますので。
─ 伝統的な日本のお手洗いも身体に良かったんですね(笑)
すっごく良かったんです(笑)。海外の人はあの体勢でいられない人がほとんどですが、日本人は、ほぼみんなできますよね。毎日10分間、あの体勢でしゃがむのも身体に良いですよ!










1969年オーストラリア・シドニー生まれ。
シドニー工科大学卒業、健康科学学士。ネイチャーケアカレッジ卒業(栄養学)。オーストラリア伝統的医薬学会(ATMS)会員。ミス・ユニバース・ジャパン(MUJ)公式栄養コンサルタント。
1985年に初来日し、大分の高校に1年間の交換留学。日本在住は今年で計16年目。伝統的な和食と日本文化をこよなく愛す。2004年からミス・ユニバース・ジャパン公式栄養コンサルタントとして、世界一の美女を目指すファイナリストたちに「美しくなる食生活」を指南。
栄養学、薬理学、生理学など予防医学における幅広い専門知識を駆使し、“内側からより美しく、心も身体もすこやかに輝く”をテーマに、ハッピーな毎日のための食とライフスタイルを、愛を込めて発信している。
公式ホームページ http://www.erica-angyal.com/
※平成24年10月1日現在の情報です。















