

─ 最近出された「夫婦二人三脚で更年期越え」という本を読ませていただいたんですが、更年期障害についていろいろ考えさせられるとともに、“そのとき”に対する心構えのきっかけにもなりました。
みなさん、ホルモンのことをちょっと見くびってますよね。ま、私自身がそうだったんですけれど(笑)。
ホルモンの影響でこんなに落ち込むとは思わなかったし、ホルモンの影響でこんなに考えが捻じ曲がるとは思ってもいませんでした。ホルモンに限らず、腰痛なんかでもそうなんですけれど、からだのどこかに不調があると、心も沈みこんでしまうんですよ。
若いころガリガリにやせてしまった時期があったんですが、そのころも具体的にどこが悪いというわけじゃないのに、気持ちがひどく暗く落ち込んでいたのを思い出します。
わたしの場合、更年期障害の症状が病院で処方された漢方薬で劇的に改善したんです。

ホルモンの影響か、「死ぬ」まではいかないけれど「生きていてもつまらない」と沈み込みがちだった気持ちが次第に元にもどっていって。夫によると、目つきもしっかりしたものに変わっていったのだとか。今も腰痛や高脂血症など、いろいろ病気をもってはいるんですけれど、あのころのように暗〜い気持ちではないんです。
そう思うと、気持ちが明るくいられるということは”健康”であるという証拠なんだなと思いますね。



更年期障害は女の人にしかないと思っている人は多いですよね。
何年か前に、マンガ家のはらたいらさんが更年期と告白されたことがありましたが・・・。
男性更年期のことはもっとたくさんの方に知ってほしいと思うんです。 中高年の男性がうつ病で自殺するっていうのも、もしかしたら半分以上が男性更年期の影響なんじゃないかとわたしは思っているんですよ。
みなさん、思春期は男女共にくるものっていうのはわかっていますよね。じゃあ、思春期ってなにかというと、子供のからだから大人のからだになる、ホルモンがバランスを変えて大人になっていくということです。それはオスメス関係ないこと。子供から大人になるんだから。
それに対し、更年期は大人のからだに起こることで、青年から老年になるときの変化っていう風に考えれば、ホルモンのバランスが変わっていくのに男も女もないんですよ。ただ、女性のほうが閉経っていうわかりやすいものがあるっていうだけで。
友達がいっていたんですが、女性に閉経ってものがあるように男性にも閉精っていうものがあってもいいんじゃないかって。ED(勃起障害)っていうのとはまた別に、もう射精しなくなる、といった時期がある、そういう考え方があってもいいんじゃないか、と。そりゃ、そうだなって思ったんですよ。でも、実際にはそういう言葉を使う人はいないですけど・・・。
─ あったとしても、男の人に更年期障害かも、とは指摘しにくいかもしれませんね。
いくら夫相手でも「更年期だから、病院に行ったほうがいいよ」って、たしかに言いづらいことですよね。
普通のお宅では、更年期だから病院に行って、というより、高血圧が心配だから、糖尿病が心配だから、といっていっしょに病院へいくほうがたぶんいいと思うんです。でも、うちの場合は逆で。
糖尿病が心配って言っても、(病院へ行かせるのは)まったくだめだったんです。だけど、わたしが更年期治療をして、症状がよくなっていったのをずっとみていたせいか、「更年期じゃない?更年期なら病院へいったほうがいいと思うよ」って言ったら、すんなりその気になってくれて。
通院して、適切な治療をうければ更年期障害は治るもの、と知っていたのでたぶん病院へも行きやすかったんでしょうね。



─ 奥様が更年期障害で辛い思いをしていても、そのことすら知らずにいる旦那様も多いと思うのですが、その中でお互いのからだの状況をきちんと理解しあっている赤星さんご夫妻がうらやましいです。
それはやっぱり、そこに至るまでに「ガン」があったからでしょうね。命にかかわる病気ですから、ガンになったとわかってお互いとても勉強したし・・・。とにかく情報戦だ!と思ったんです。
(ガン告知された)39歳のころはまだインターネットデビューしていなかったので、まず本を買うことからでした。職業柄本を買うことに全然抵抗がないので、どんどん高い本を買っていましたね(笑)。ネット環境が整ってからは、それを使って調べて。ネットを使うと、ほんとうにラクチン(笑)。
更年期についても、子宮と卵巣の切除手術をうけると「外科的更年期」といって更年期が早く訪れると聞いていたので、事前にいろいろ対処しておこうと、夫婦で勉強していたんです。
─ ご主人がガンについて『家族がまず勉強して、患者本人の不安や疑問に答えて上げられるようになると最高。おびえや恐れより、まずは情報収集と知識が重要』とコメントされていたのを拝見しましたが、まさにそれを実践されたわけですね。
その(ガン告知の)前から医学モノ好きではあったんですよ。ふたりとも柳田國男氏の「ガン回廊の朝」というルポものが好きでね。独身時代から愛読していて「ああ、日本のガン最先端医療はすごいなあ」と思っていたせいか、ガン告知されたときも病院ジプシーしたりすることはなかったですね。
わたしも自分自身が子宮ガンになり、姉が乳ガンになったりといろいろあったんですが・・・、正直自分のガンよりも家族のガンのほうが辛いですよね。自分のガンはね、最終的に死ねば済む、みたいな思い切りが出来るんですけど、家族のガンっていうのは本当に・・・。
だからこそ、とにかくいい情報を集めました。やっぱりガンという病気は情報戦ですから。
対処法などをはじめ、情報はいくらあっても困ることはないと思うんです。なによりそれをうけて、前向きに病気とたちむかう気持ちになる、それが大きな武器になるんじゃないかな。
とくに男の人の場合、情報を与えられることによって安心することが多いんです。男性のほうが理論的な情報をよろこぶんですよね。女の人は、情報だけじゃダメな傾向があって、「大丈夫だよ」っていってもらえるほうが安心するところがありますが。もちろん、人によりますけれど。
気持ちの優しさだけではだめで、本をごそっと読むほうが大事なこともあるんですよね。情報を集めるということ、それが苦ではないということ。それは、ガンに対して有効なライフスタイルのひとつだと思います。



─ 身近な人が病気になったら、自分に何が出来るのか考え込んでしまう方も多いでしょうね。
なんでもいいんですよ。いろんな手助けのやり方がありますから。ただ声をかけてあげるだけでも。
わたしもお見舞いに来てくれるだけでありがたかったし、しばらく連絡がない人から電話がかかってきたりとか、気にかけてもられるだけでうれしかったですから。

たとえば、ガン患者の場合検診や治療のため仕事を休んだり早退しなければならないことがありますから、そういうとき仕事を代わってあげるという手助けの方法もあります。
でも、家族の場合には、代わりに会社に行くわけにいかないじゃないですか。そうしたら、マッサージしてあげよう、でもいいんです。
たとえば、うちの姉は細やかな心遣いが得意なんです。旅行にいったときも姉は親にちゃんとお土産を買って送っていて、すごいなあって(笑)。わたしなんてそんなこと考えもしなかったですから(笑)。
たまたまうちは情報収集が得意だったので、その側面を一手に引き受けただけ。それが結果的に一番大きな力になったとは思いますけど。
─ 家族にしてもそれぞれタイプは違うのだから、それぞれのできること、得意なことをすればいいんですね。
うん、それでいいんです。
いろんな人がそれぞれにあったいろんなことを引き受ければいい、そう思いますね。
エコに関しても同じですけれど、なにもかもやろうとは思わないで、自分にできることをできるようにやればいいんじゃないでしょうか。

「旦那様との絆はどこにあると思いますか?」
今、ふたりで仕事をいっしょにやっていて、一つの作品をつくるにもふたりでいっしょにやっているんですね。広告の仕事も、ずっと長いことふたりでいっしょに取材にいったりと、仕事の面でものすごくつながりが深いんです。うちは子供もいないですし、ネコと仕事がかすがいですね(笑)。
じつはわたしの両親は、田舎で食料品店をやっていて、朝から晩まで夫婦いっしょにお店で働き、そのお店の仕事の話をして・・・という生活だったんですが。それをみて育ってきた自分も今まさにそういう状態なんですよね。そのせいか、これはもし仕事がなかったら別れてたかもしれない、と思ったり(笑)。


1957年宮崎県生まれ。
79年講談社「mimi」でマンガ家デビュー。軽妙な作風で人気を博し、現在は、青年誌、総合誌を問わず、あらゆるタイプのマンガで男女を問わず幅広い層に支持されている。1997年、子宮ガンのため、子宮と卵巣の摘出手術を受ける。その体験を綴ったエッセイに「はいッ!ガンの赤星です!!」(扶桑社)がある。
また、趣味から始まったエコロジーと健康への興味が高じ、無理せず誰にも続けられるエコな健康生活術を提唱。今では各地での講演も大好評。著書に「ダメ犬ちゃん夫のしつけ 37のルール」(すばる舎)「きれいに暮らす簡単石けん生活」(青春出版社)「赤星生活」(講談社)「夫婦二人三脚で更年期越え」(講談社α新書)ほか多数。
公式ブログ「赤星コム」http://www.akaboshi.com/
※平成24年10月1日現在の情報です。
注※) 本記事に掲載されているイラスト画像は、「夫婦二人三脚で更年期越え」(講談社+α新書)より、赤星たみこ様および株式会社講談社様の許諾を得て使用しております。















